函館稜北病院総合診療科抄読会B面

毎週木曜日5:30PMから30分間、Clinical Problem-Solvingを素材にクリニカル・パールを拾い集めます。

医者は患者をこう診ている

この本を簡単に説明すると、NEJM の Clinical Problem-Solving の Common disease 版と言えよう。ある日の午前中の18人の外来患者とのやりとりを専門家でない読者にも分かるよう解説をくわえながら描いた本。専門家には回りくどい記述もあるが、著者の感情やイギリス固有の事情も垣間見ることができるのは大いに得るものがある。そのうちの1つ、本書に繰り返し出てくるICEについて解説した部分を原文から引用しておく。

Now I move on to what UK GPs like to call ‘ICE’. This stands for the patient’s Ideas, Concerns and Expectations. ICE is the Holy Trinity of consultation skills. It’s such a central concept in general practice training that medical students and GP trainees often roll their eyes when trainers talk about it – they’ve heard it so often and it can seem fluffy to the more scientifically minded. It is the first step in an influential model of the consultation first proposed by Oxford-based social psychologist David Pendleton and his GP colleagues in 1984.

本書に出てくるNHSについて説明しておくと、AJクローニンの半生の自伝とも言える小説、「城砦」が1930年代のイギリス医療を描いており、前半ではTredegarという炭鉱街での経験が描写されています。戦後、"From the cradle to the grave"をスローガンとした労働党が大勝し、Tredegar出身のAneurin Bevanが厚生省大臣となり、出身地の先進的 "Tredegar Medical Aid Society" を全国に拡大したものが、現在の"National Health Service"なのでした。そういう意味で、「城砦」と合わせ読むと、イギリスの医療史が俯瞰できます。そして、それが難民をイギリスに引きつけ、Brexitの一因となってしまっていることは、皮肉な歴史の因果です。

Caliberでmobi形式文書を作る

少し手間なのですが、英語文献をmobi化(アマゾンの電子フックリーダーの形式)にしておくと、下記の点で便利です。

スマホでも読めるので、細切れの時間の利用も出来る。

②文字を見やすいサイズに変更出来る。(老眼に優しい。)

③すぐ辞書やウィキペディアを参照できる。

④ハイライトを保存し、あとでまとめてスマホからメールでPCに転送できる。

そのためのアプリケーションソフトが、"Caliber"

次の作業が必要。

①ネット上の読みたい文書をワープロソフトにコピーして体裁を整える。

②上記をodt形式で出力

③odt文書をcalibreで開いて、mobi形式に変換・出力

④出来たmobi文書をkindleへ転送

上記のメリットが、これら5分から10分くらいかかる作業コストをカバーするかどうかが問題。

個人的に読み流すだけなら時間の無駄、抄読会のためになんらかの課題を作成するためには、メリットの④は大きいと思われる。

蛇足だが、ソフト名の "Caliber" 、電子ブックリーダーとなんの関係があるのかわからないが、「内径」という意味。NEJMのClinical Problem-Solvingの中では、次の用例がある。

  • She reported increased constipation in the past year, but not melena, hematochezia, or a change in stool caliber. "Less is More"
  • Both fallopian tubes filled with contrast medium and were of normal caliber. "Hard to Conceive"

"Negative Capability"

初めて聞いたこの言葉。詩人キーツの悲恋を描いた映画「ブライトスター」のモチーフにもなっているようです。

Fanny Brawne: I still don't know how to work out a poem.

John Keats: A poem needs understanding through the senses. The point of diving in a lake is not immediately to swim to the shore but to be in the Lake, to luxuriate in the sensation of water. You do not work the lake out. It is an experience beyond thought. Poetry soothes and emboldens the soul to accept mystery.

Fanny Brawne: I love mystery.

John Keats: I found your fairy princess on the wall in my room.

Fanny Brawne: And you could make her out?

John Keats: She wears a butterfly frock.

 春日武彦先生が説く、「中腰」にも繋がるような気がします。俗っぽく言えば、「日にち薬」。それならば、ギリシア・ローマ時代から言われていることではありますが。

 

マチワイヤー

購入方法は、下記リンクへ。

tama-medical.com

Chicago Med I-3 "Malignant"

ブラジルからの移民二世、弟が医師になるために働いている看護師エイプリル・セクストン が、実習中の弟にACLSプロトコールについて助言しているシーン。

Yeah, it's just, um, I'm trying to memorize these emergency protocols. You know, all the flow charts and decision points. I don't know when to shock, when to give meds, like, how many joules, what's the doses

Okay. Look, it's not so much about memorization as just thinking logically. V-fib. We shock because electricity resets the current. But in asystole, there's no current. So we push meds instead.

See, you just have a way of putting things. 

 

"Briefings from the New England Journal of Medicine" について

新たなNEJMの記事の日本語ソースを見つけました。

BRIEFINGS - The New England Journal of Medicine 日本語版 です。

手段と目的を取り違えないように注意しなければなりません。

日本語のあるものは、苦労して英語で読む必要はありませんよね。

リンク先から抜粋すると、

“Briefings”とは,Massachusetts Medical Society 発行の“The New England Journal of Medicine”に掲載されているコンテンツ「Perspective」「Editorial」等から毎週 1 論文を NEJM 編集委員が選択したものです. 当サイトでは,毎月 4 週にわたり,1 論文と Topics サマリーを日本語に訳した『Briefings 日本語版』を,きわめて重要な医学情報としてご提供しています.

とのことです。

第103回:「日常診療でよく診る症状の裏に」

お話のキモは、腰痛、便秘、しびれ、頭痛、めまいなどコモンな症状にいろんな「裏」がありますよということ。これを避けるためには、時間なり、思考フレームなりを変えて、「セカンド・ルック」を実践することが大切ということでした。前医が、専門医という場合は、前医の再診をお勧めすることが、患者さんのためになりますということでした。

お話のなかで、「10秒テスト」(10-s grip and release test)という検査の紹介がありました。この検査について調べていたら、同様の意義の検査で、数取器を使った検査法を見つけました。

Tally counter test as a simple and objective assessment of cervical myelopathy