函館稜北病院総合診療科抄読会B面

毎週木曜日5:30PMから30分間、Clinical Problem-Solvingを素材にクリニカル・パールを拾い集めます。

抄読会

第19回:"A Breakthrough Diagnosis"

南江堂のNEJM日本語サイトでは、タイトルの和訳が「画期的診断」となっておりますが、メンバーのA先生の「突破口診断」の訳のほうが、穿孔や開腹という意味も含意し、トリプルミーニングを適切に表現していると思います。 Word Count:3132語 (Time: 19'55''…

第18回:"A Deficient Diagnosis"

反面教師とも言える症例でした。稀な疾患を鮮やかに診断するケースだけではないのもこのシリーズの面白いところ。紀元前から付き合いのある壊血病(Cheadle-Möller-Barlow syndrome)を、これほどかという医療資源を投入して診断していく過程は、"Internationa…

第17回: "Eye of the Beholder"

今回のタイトルは、眼瞼皮膚の視診の眼力次第という意味を込めたのでしょうか。 まれな疾患ではありますが、疾患経験医師が多く、実症例からの生写真、CT画像をもとに、パールが語られました。 Word Count:2848語 (Time: 17'50'', 160 wpm) 参加人数:4名 …

Caught in the Web: e-Diagnosis

今日は徳田安春先生の来函を祝して、先生の御本から先生の記事を読んだ。本ケースは、Crow‐Fukase症候群ともPOEMS症候群とも呼ばれる疾患。 POEMSとは、多発性神経炎(polyneuropathy)、臓器腫大(organomegaly)、内分泌異常(endocrinopathy)、 M蛋白(M‐…

Mini Nutritional Assessment Short-Form (MNA-SF) Predicts Clinical Outcomes: Cohort Study of Small-Sized Hospital in Japan

今回は、同じ系列の病院で働く医師が発表した論文を素材に取り上げました。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgfm/17/1/17_90/_pdf 栄養状態のスクリーニング検査MNA-SFで、入院患者の予後(転記、入院期間、続発症)がある程度予測できるというもので…

Lucky Lady

医者の能力、病状、それにも増して重要なのが運だったりする。 【参加人数】4名 【今回の語数】2355語【累計語数】38,940語 【私の読了にかかった時間】18分25秒 (128 wpm) 【クリニカルパール】 When pregnancy begins during a complete remission of lupu…

Weak Reasoning: Diagnosis by Drug Reaction

推論の弱さと筋力の弱さを掛けたタイトルなのでしょう。 【参加人数】5名 【今回の語数】2597語【累計語数】36,585語 【私の読了にかかった時間】13分56秒 (186 wpm) 【クリニカルパール】 But the consulting neurologist recalled several reports that su…

Too Much of a Good Thing

タイトルを深読みすると、不定冠詞に大きな意味があったりするのかも。「論語」先進第十一の「過猶不及」やアポロン神殿入り口に刻まれていたという "μηδέν άγαν" (過剰の中の無)を挙げるまでもなく、テクノロジーの進歩に反して、人間は同じ過ちを繰り返…

Treating Before Knowing

"Rare manifestations of common diseases are more common than common manifestations of rare diseases."という箴言を地で行くケースでした。"empiric therapy"という言葉があるくらい日常診療では、"Treating Before Knowing" は日常的なことではありま…

Interpreting Hoofbeats: Can Bayes Help Clear the Haze?

"When you hear hoofbeats, think of horses not zebras".という箴言をもとに、BayesとHazeで韻を踏んだタイトルです。 【参加人数】4名 【今回の語数】3517語【累計語数】28,477語 【私の読了にかかった時間】35分42秒 (99 wpm) 【クリニカルパール】 The c…

From Dancing to Debilitated

前回以上に稀なケースでした。それでも早期閉鎖をせずに、中腰でDisease Xの可能性を保持することの大切さが身にしみます。 【参加人数】5名 【今回の語数】3071語【累計語数】24,960語 【私の読了にかかった時間】27分32秒 (111 wpm) 【クリニカルパール】 …

Rare X Rare

稀の自乗の疾患でも、漏らさず鑑別診断を挙げ、確実に除外できるものを除外していくことで診断可能なことを示したケース。 【参加人数】4名 【今回の語数】2820語【累計語数】21,899語 【私の読了にかかった時間】22分34秒 (125 wpm) 【クリニカルパール】 U…

Failure to Resolve A Diagnostic Inconsistency

診断行為では、早期閉鎖を回避しなければならない。同時に、時間圧にも晒されている。熟考と迅速という矛盾を克服するにはどうしたらいいか、永遠の課題ですね。 【参加人数】3名 【今回の語数】3020語【累計語数】19,079語 【私の読了にかかった時間】16分5…

Risky Business

麻薬常習行為、ハイリスクな外科的介入、外科スタッフの感染のリスク。"Risky Business"の三重奏です。 【参加人数】4名 【今回の語数】3017語【累計語数】16,059語 【私の読了にかかった時間】12分34秒 (240 wpm) 【クリニカルパール】 With left-sided end…

A Complementary Affair

シェーグレン症候群の腺症状を補完する症状と補体を掛けたタイトルですね。 【参加人数】5名 【今回の語数】2,971語【累計語数】13,042語 【私の読了にかかった時間】15分59秒 (186 wpm) 【クリニカルパール】 Glomerular involvement in primary Sjögren’s …

How Sure is Sure Enough?

教科書的には、臍より上で鼻から下の痛みは、心筋梗塞を疑えとは言いますが、その疑いをどこまで保留し続けることができるかが問われる症例でした。そういえば、心筋梗塞から生還した医者の発作時の自己診断の正診率は、60%程度という話を読んだことがありま…

The Value of Audio Devices in the Endoscopy Room (VADER) study: a randomised controlled trial

A long time ago in a galaxy far, far away....オーストラリアでのとある研究の物語です。 【参加人数】6名 【今回の語数】1936語【累計語数】7009語 【私の読了にかかった時間】17分49秒 (132 wpm) 【クリニカルパール】 We recommend the widespread use …

The Many Pitfalls in the Diagnosis of Myeloma

今回のケースは、FUOというプレゼンテーションで、はめてやろうという意図が丸見えですが、答えもまたタイトル中に丸見えです。 【参加人数】3名 【今回の語数】2097語【累計語数】5073語 【私の読了にかかった時間】17分49秒 (118 wpm) 【クリニカルパール…

Back to Nature

今回のケースは、インフルエンザと思いきや、バイオテロでの利用が危惧されるあの病原体による疾患でした。タイトルは、「自然に帰る」ということと、「原点に帰る」ということを掛けているようです。 【参加人数】5名+ペーパー参加1名 【今回の語数】2976…