函館稜北病院総合診療科抄読会B面

毎週木曜日5:30PMから30分間、Clinical Problem-Solvingを素材にクリニカル・パールを拾い集めます。

第20回 "The Hidden Lesion"

本シリーズでは、2回目の登場となる "May-Thurner 症候群"。Wikipediaにも項目が立っているので、「隠れた」とは言いがたいのかもしれない。(ちなみに、1回目は、"A Sinister Development" の回でした。深読みすると、タイトルの冠詞が、不定冠詞から定冠詞…

文献管理ソフト Mendeley

みなさまは、どのように文献管理を行っているでしょうか? もし、特定の方法をお持ちでなければ、おすすめのソフトがあります。 Mendeley: 無料の文献管理ツール & 研究者ネットワーク | Elsevier です。 エルゼビアに買収されてしまったことに一抹の不安を…

第19回:"A Breakthrough Diagnosis"

南江堂のNEJM日本語サイトでは、タイトルの和訳が「画期的診断」となっておりますが、メンバーのA先生の「突破口診断」の訳のほうが、穿孔や開腹という意味も含意し、トリプルミーニングを適切に表現していると思います。 Word Count:3132語 (Time: 19'55''…

第18回:"A Deficient Diagnosis"

反面教師とも言える症例でした。稀な疾患を鮮やかに診断するケースだけではないのもこのシリーズの面白いところ。紀元前から付き合いのある壊血病(Cheadle-Möller-Barlow syndrome)を、これほどかという医療資源を投入して診断していく過程は、"Internationa…

第17回: "Eye of the Beholder"

今回のタイトルは、眼瞼皮膚の視診の眼力次第という意味を込めたのでしょうか。 まれな疾患ではありますが、疾患経験医師が多く、実症例からの生写真、CT画像をもとに、パールが語られました。 Word Count:2848語 (Time: 17'50'', 160 wpm) 参加人数:4名 …

抄読会の予定

2016年5月19日 "Eye of the Beholder" 2016年5月26日 "A Deficient Diagnosis" 2016年6月2日 "A Breakthrough Diagnosis" 2016年6月9日 新着記事 2016年6月16日 "Springing a Leak" 2016年6月23日 "On the Nose" 2016年6月30日 "A Surprising Cause of Chron…

これからの抄読会

メンバーの入れ替わりもあり、これからの抄読会の持ち方を協議しました。 来週から開催時間は、木曜日の17:30〜18:00となります。 引き続き、文献は、"Clinical Problem-Solving" の記事を読んでいきますが、 新しいものから読んでいくこととしま…

函館ISLSコース参加報告

本日の医局会議で函館ISLSコース参加報告を致しました。簡単に言えば、脳卒中版ICLS。札幌では開催されていないそうで、函館で総合診療の研修をする優位点の1つになりえます。 強調したいのは、下記の3点。 発症からt-PA投与までの時間をどのように短くす…

2016年5月13日(金)の抄読会のテーマ:今後の会の持ち方

メンバーの入れ替わりもあるため、次回は今後の抄読会の持ち方を討議したいと思います。論点は、 ファシリテータ:技法はK先生に教えてもらいながら、誰もが抄読会のファシリテータになれるようにしたい。 対象:NEJMを継続していくか、JHMに浮気をするか?…

Caught in the Web: e-Diagnosis

今日は徳田安春先生の来函を祝して、先生の御本から先生の記事を読んだ。本ケースは、Crow‐Fukase症候群ともPOEMS症候群とも呼ばれる疾患。 POEMSとは、多発性神経炎(polyneuropathy)、臓器腫大(organomegaly)、内分泌異常(endocrinopathy)、 M蛋白(M‐…

ドクターSへ

私達の抄読会メンバーから熊本の支援に向かう若い医師がおります。研修施設が変わる時期での決断、頭が下がる思いです。せめてもの餞として、役に立つかもしれない資料のリンクを送ります。『今日の診療WEB』 無料公開のご案内熊本地震に医療支援に行く医師…

Mini Nutritional Assessment Short-Form (MNA-SF) Predicts Clinical Outcomes: Cohort Study of Small-Sized Hospital in Japan

今回は、同じ系列の病院で働く医師が発表した論文を素材に取り上げました。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgfm/17/1/17_90/_pdf 栄養状態のスクリーニング検査MNA-SFで、入院患者の予後(転記、入院期間、続発症)がある程度予測できるというもので…

第1回POC超音波研究会に参加して

上記研究会に参加したので医局会議で報告をさせていただきました。要旨は、下記の通り。 POC超音波の有用性 触診・聴診の延長として患者満足度の向上が期待できる。 在宅、僻地診療での応用が可能である。 無用なCTを減らし、患者の被爆を減らすことができる…

Lucky Lady

医者の能力、病状、それにも増して重要なのが運だったりする。 【参加人数】4名 【今回の語数】2355語【累計語数】38,940語 【私の読了にかかった時間】18分25秒 (128 wpm) 【クリニカルパール】 When pregnancy begins during a complete remission of lupu…

Weak Reasoning: Diagnosis by Drug Reaction

推論の弱さと筋力の弱さを掛けたタイトルなのでしょう。 【参加人数】5名 【今回の語数】2597語【累計語数】36,585語 【私の読了にかかった時間】13分56秒 (186 wpm) 【クリニカルパール】 But the consulting neurologist recalled several reports that su…

Too Much of a Good Thing

タイトルを深読みすると、不定冠詞に大きな意味があったりするのかも。「論語」先進第十一の「過猶不及」やアポロン神殿入り口に刻まれていたという "μηδέν άγαν" (過剰の中の無)を挙げるまでもなく、テクノロジーの進歩に反して、人間は同じ過ちを繰り返…

予定変更のお知らせ

3月11日は複数メンバーの出張のためお休みとさせていただきます。 つきましては、下記のように日程が変更になります。 3月18日:第12回抄読会 3月の新着記事 "Too much of a Good Thing" 3月25日:第13回抄読会「あいまいな診断論拠:投薬後の経過…

Treating Before Knowing

"Rare manifestations of common diseases are more common than common manifestations of rare diseases."という箴言を地で行くケースでした。"empiric therapy"という言葉があるくらい日常診療では、"Treating Before Knowing" は日常的なことではありま…

Interpreting Hoofbeats: Can Bayes Help Clear the Haze?

"When you hear hoofbeats, think of horses not zebras".という箴言をもとに、BayesとHazeで韻を踏んだタイトルです。 【参加人数】4名 【今回の語数】3517語【累計語数】28,477語 【私の読了にかかった時間】35分42秒 (99 wpm) 【クリニカルパール】 The c…

"SCI-HUB"の紹介

利用するか否かは各人の御判断にお任せしますが、文献が手軽に入手出来て便利なので、リンクをサイドバーに載せました。サイトの詳細は、下記の記事を参照して下さい。 gigazine.net 連続して文献を入手しようとすると、ロボットによる負荷を回避するために…

今後の日程

A先生申し訳ございません。人が集まらず、流会とさせていただきました。つきましては、今後の日程に変更が生じますので、お知らせいたします。 2月26日:第10回抄読会「ひづめの音を聴きわける:ベイズの定理は霧を晴らすか?」 "Interpreting Hoofbeats: Ca…

BCG流最強の思考プロセス

The Boston Consulting Group で採られている思考法という謳い文句。原典のタイトルは、"Thinking in New Boxes" らしい。Clinical Problem-Solvingには、"Thinking outside the Box" という記事が、Clinical Care Conundrumには、"Thinking inside the Box"…

From Dancing to Debilitated

前回以上に稀なケースでした。それでも早期閉鎖をせずに、中腰でDisease Xの可能性を保持することの大切さが身にしみます。 【参加人数】5名 【今回の語数】3071語【累計語数】24,960語 【私の読了にかかった時間】27分32秒 (111 wpm) 【クリニカルパール】 …

The Science of the Art of Medicine

William Osler先生の言葉に、 "Medicine is a science of uncertainty and an art of probability." というものがありますが、その視点から診断学を俯瞰した一冊。アリストテレスの古典から21世紀の古典とも称されるカーネマンの著作まで渉猟している。さら…

Rare X Rare

稀の自乗の疾患でも、漏らさず鑑別診断を挙げ、確実に除外できるものを除外していくことで診断可能なことを示したケース。 【参加人数】4名 【今回の語数】2820語【累計語数】21,899語 【私の読了にかかった時間】22分34秒 (125 wpm) 【クリニカルパール】 U…

Failure to Resolve A Diagnostic Inconsistency

診断行為では、早期閉鎖を回避しなければならない。同時に、時間圧にも晒されている。熟考と迅速という矛盾を克服するにはどうしたらいいか、永遠の課題ですね。 【参加人数】3名 【今回の語数】3020語【累計語数】19,079語 【私の読了にかかった時間】16分5…

Risky Business

麻薬常習行為、ハイリスクな外科的介入、外科スタッフの感染のリスク。"Risky Business"の三重奏です。 【参加人数】4名 【今回の語数】3017語【累計語数】16,059語 【私の読了にかかった時間】12分34秒 (240 wpm) 【クリニカルパール】 With left-sided end…

Twelve tips for presenting a clinical problem solving exercise

抄読会の間奏曲として、文献紹介もしていこうと思います。今回は、ティアニー先生の後継者のおひとり、 Dhaliwal先生によるClinical Problem-Solving形式カンファレンス開催のコツに関する記事から12個のコツを要約してみました。 Picking the Case: 診断医…

A Complementary Affair

シェーグレン症候群の腺症状を補完する症状と補体を掛けたタイトルですね。 【参加人数】5名 【今回の語数】2,971語【累計語数】13,042語 【私の読了にかかった時間】15分59秒 (186 wpm) 【クリニカルパール】 Glomerular involvement in primary Sjögren’s …

How Sure is Sure Enough?

教科書的には、臍より上で鼻から下の痛みは、心筋梗塞を疑えとは言いますが、その疑いをどこまで保留し続けることができるかが問われる症例でした。そういえば、心筋梗塞から生還した医者の発作時の自己診断の正診率は、60%程度という話を読んだことがありま…