第98回 脳神経外科病院症例検討会「脳外科に搬入された内科疾患」
タイトルのテーマで、当院向かえの脳神経外科病院で症例検討会が行われました。全部で6症例、いずれも身につまされるケースばかりでした。さらに今回で98回目を数えるということで100回目も目前、その継続性には敬服するばかりです。
今回の症例は、6症例中5例は循環器疾患であり、「失神→脳神経外科」はペケで、むしろ「失神→循環器科」である、というのが、まとめになりましょうか。そして、それらの循環器疾患は見逃すとミゼラブルな転帰を迎える可能性が高いという意味でも、今回の症例は胸に刻む必要があります。
症例
- 低血糖:"A stroke is never a stroke until it has received 50 of D50." は、まさに至言で、neuroglycopenia から失神、意識障害を起こしえます。こわいのは、血糖降下剤以外に低血糖を起こし得る薬剤が多数あること。
- 不安定狭心症:頭ではわかっていても魔が差して見逃し得る疾患の代表例ですね。胸痛、腹痛は全く無く、入浴後の繰り返す失神が主訴とのこと。
- 解離性大動脈瘤:驚くべきは、コメディカルスタッフが脈の左右差から気がついたということ。
- 細菌性心内膜炎:後知恵バイアスに塗れると、実は、この症例初発症状は、椎間板炎による腰痛だったそうです。あな、おそろしや。
- タコつぼ型心筋症:セレンディピティといいましょうか、ちょうど昨年NEJMで報告された"Clinical Features and Outcomes of Takotsubo (Stress) Cardiomyopathy" 今月号のMMJで紹介されておりました。
- 心室細動:AHAのACLS2015の蘇生に用いる薬剤から外されたマグネシウムが、救命した一例でした。
いかがでしょうか? この抄読会の6倍も勉強になったでしょう。(勉強というよりは、冷静に考えると、背筋が寒くなりますね。)