函館稜北病院総合診療科抄読会B面

毎週木曜日5:30PMから30分間、Clinical Problem-Solvingを素材にクリニカル・パールを拾い集めます。

「第 1回 救急医のためのポイントオブケア超音波セミナー」参加報告

 日本プライマリ・ケア学会総会出席のついでに、上記セミナーに参加してきました。最近、いろいろなPOC超音波の普及をはかる団体が活動を始めています。IT業界のチープ革命に対応するものでしょうか。安いポータブルエコーの上市が引き金になっているようです。今後は、「伽藍とバザール」の方式で、非専門家による知識の蓄積が期待される分野になりそうです。

 心臓、気道、腹部、整形外科、眼球など多岐にわたる分野ですが、自分の職場環境を鑑みて、しばらくは「肺エコー」に集中しようと思います。というのは、高齢者を様々な場所で見ることが多く、そこでコモンな病態が、肺炎だからです。

 その肺エコーについて、今回学んだことを長友選手風に、AMOREでまとめてみます。

  • Artefact:肺の場合、実質臓器ではないので、胸膜エコーのアーチファクトを観察することになる。
  • Motion:胸膜の動きを観察することが、肺エコーの基本。
  • Orientation:端子の当て方が自由がゆえに、どこをどのように見ているのかを見失わないことが大切。
  • Reasoning:確定診断をつけるというよりは、症状と肺エコー所見の組み合わせで、鑑別診断をすることが大切で、両耳の間(大脳)が物を言う。
  • Evolution of the physical examination:検査というよりは、ベッドサイドでできるということは、むしろ身体診察の延長であり、視覚が体内に及ぶ「内視診」とも呼ぶべき診察法の進化と言える。

 Stethoscopeの原義は、ギリシア語の「胸視鏡」なのですが、今世紀に入ってやっと字義通りのStethoscopeがポケットに入る時代がやってきたというわけです。